オメガ3は成長促進に欠かせない栄養素です。

 脂質は、健康や正しい栄養摂取について長年論じられてきた重要テーマです。

 さまざまな理論や幅広い考え方がある中、食事における油脂の働きや正しい選び方について基礎知識を知っていると、とても役立ちます。 脂質は、毎日の食事においてとても重要な役割を果たしており、代謝の促進、細胞や動脈、毛細血管の強化、脳機能の向上、若々しさを保つなど、さまざまな健康効果を得ることができます。

 近年、現代食によく見られる脂質摂取量の増加により、脂質に関連する問題が多く起こっています。
日本食を含めた多くの伝統食が、10-15%の脂質を含むのに対し、現代食では脂質だけで摂取カロリーの30~45%を占めています。 こうした脂質消費量の増加は、主に動物性食品や脂質添加物の多い加工食品の消費量が前例にないほど増えたことが原因です。
 又、揚げ物、油の多いドレッシングやマヨネーズ、油っぽいスイーツなどの大量の油脂を含む現代食やその調理法により発生します。
 従ってアドバイスとしては、次の低脂肪食の部分でも書いているように、大勢の人たちの脂肪摂取量を減らすことを考えなければなりません。

 栄養摂取の改善をする場合、脂質の種類を考えることは大切です。
脂質の大半は、トリアシルグリセロールと言うグリセリンに3つの脂肪酸が結合したものから成り立っています。
その脂肪酸は基本的に「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。

 飽和脂肪酸は室温では固体で、主に動物性食品、特に肉やクリームやバターといった乳製品に多く含まれています。 又、パーム油やココナッツ油といった熱帯産の食品も飽和脂肪酸が多く、同様に加工された植物油、例えば、植物性のショートニングやマーガリンなど加工された植物油も同様に飽和脂肪酸が多く含まれています。
 一方、不飽和脂肪酸は室温では液体で、主に植物性食品が主な原料です。

 両方を比較すると、不飽和脂肪酸は消化と代謝がしやすく、一方の飽和脂肪酸は消化がしづらく、体内に溜まりやすい傾向があります。 とくに飽和脂肪酸は、コレステロールを増加させることが知られており、長い間、現代社会によく見られる生活習慣病や慢性疾患の主な原因とされてきました。
 結果的に、植物性油脂の不飽和脂肪酸は健康的な脂質であり、飽和脂肪酸はなるべく避けた方がよい脂質であると言えます。

 欧米では、飽和脂肪酸とコレステロールが、心臓病や脳卒中などの循環器疾患を含む慢性疾患の増加要因ではないかと疑い始め、人々が動物性脂質から植物性脂質に置き換えることに着目しています。
 しかし、ラードやバターなどの固体油脂は人気が高く、広く使われており、植物性油脂はその代替品には相応しくありませんでした。そのため食品製造者は、室温では液体の植物性油脂を、室温でも固体になるよう加工することを考えるようになりました。
 そしてついに、20世紀初めに水素添加の加工法が開発され、高熱圧縮の状況で植物油に水素ガスを注入することで不飽和脂肪酸を飽和化または硬化させることを可能にしました。やがて、植物油から作られたマーガリンや植物性ショートニング、半硬化油(一部水素添加油)が市販されるようになりました。

 マーガリンは当初、植物油が原料であることから、(室温で固体の)バターよりも健康的な代替品として宣伝され、すぐにバターの代わりに利用されるようになりました。
 それに対して半硬化油(一部水素添加油)は、繰り返し加熱しても劣化することなく長持ちし、無味なため揚げ物調理にとても適しています。 これらは鮮度が長持ちし、冷蔵の必要がなく、保存期間を延ばすなど、化学的な処理により安定化された油です。 又、植物性の固形油脂は動物性の固形油脂よりも安価なため、輸送を簡単にしたり、用途を広げることを可能にしました。
 やがて、それらは大量に加工されるようになり、ドーナツやフレンチフライなどの揚げ物、パンやピザ生地などの焼き物、マフィンやクッキーなどのお菓子、ポテトチップスやクラッカーを含むスナック食品、そして、その他の加工食品を扱う食品産業によって販売され、広く使われるようになりました。

 しかし、やがて半硬化油(一部水素添加油)が、化学的な変換加工を行うことにより大量のトランス脂肪酸を含むことが分かりました。牛肉や子羊、特定の乳製品にも少量のトランス脂肪酸が自然に発生しますが、トランス脂肪酸は主にマーガリンや植物性ショートニング、それらが入った食品を含む半硬化油(一部水素添加油)に見られる、人工油脂です。
 調査から数年後の現在、トランス脂肪酸は飽和脂肪酸よりもコレステロール値に悪い影響を与えることが分かり、結果としてトランス脂肪酸はやがて他の脂質よりも私たちの健康にとって危険であると考えられるようになりました。

 トランス脂肪酸を食べることで、LDL(低比重リポタンパク質)の値が上昇します。これらは「悪玉コレステロール」と呼ばれており、それらの粒子が「プラーク」と呼ばれる付着物となって毛細血管を狭くし、血流を制限するためであり、血管が破れた時は心臓発作や脳卒中の原因となります。
 トランス脂肪酸は、次第に体内に蓄積し、肥満や炎症を促進します。そして、アレルギーやメタボリックシンドロームから心臓病、脳卒中、糖尿病や悪性腫瘍などのより深刻な慢性疾患までに及ぶ、さまざまな生活習慣病につながります。

 食事による少量のトランス脂肪酸でさえ健康に悪影響となり、例えば、ハーバード大学公衆衛生学部栄養学科(大学院)の調査員によるトランス脂肪酸に関する分析では、トランス脂肪酸の摂取量がエネルギー換算で2%増加するごとに心臓疾患のリスクが23%増すことが分かりました。
 最近、同大学院と米国医学研究所は、トランス脂肪酸の摂取量は安全レベルではなく、出来る限り少量にしなければならないと結論を下しました。その一方でアメリカ政府は、FDA(食品医薬品局)を通じて最近、アメリカの食品市場(アメリカン・フード・サプライ)において、すべてのトランス脂肪酸の利用を禁止にしました。
 そして、WHOは一日に消費するトランス脂肪酸の総量を、一日の摂取エネルギーの1%に抑えるよう推奨しました。

 食事における最も良い油脂の摂り方は、全粒穀物や豆類、種子やナッツ類、さらにより自然かつ伝統的な製法で作られた麺や餅、豆腐、湯葉、味噌や醤油などの自然食品から得ることです。 これらの食品には、栄養のバランスを整えながら消化・吸収を助ける食物繊維やミネラル、ビタミンなどの様々な栄養素とともに、適正量の脂質が含まれています。
 又、適量の動物性食品、とくに飽和脂肪酸の少ない魚や魚介類は、良い油脂の摂取を補ってくれます。植物油も同じく、主に調理で適量を使うなら、良い脂質の供給源となります。

 しかしながら、加工油脂を使う場合、品質に注意しなければいけません。ほとんどの脂質は現在、化学物質を使った溶媒抽出法で加工され、同じく化学物質を使って高温で精製され、酸化防止剤を含んでいます。
 これらの加工は、製品から自然な味わいや色、香り、又、必須脂肪酸といった有益な栄養価などを奪い、脂質に損傷を与え、化学物質との接触を増やします。 そのため油を選ぶ際は、栄養や品質がより保たれている低温圧搾で作られた未精製品がよいでしょう。
 さらに、住んでいる日本の気候を考え、温帯産の植物が原料のものを選ぶようにし、とくに飽和脂肪酸を多く含むパーム油やココナッツ油、カカオバターなど、熱帯産の植物が原料のものは避けるようにしましょう。

※パトリシオ先生の英語によるコメントを翻訳しています。